直感は案外正しい (Do What Your Heart Tells You To Do)

ある金曜日の午後、担当中の候補者に会いました。マーケティング・ディレクターの内定を受けるつもりでほぼ気持ちが固まったが、後々面倒なことにならないように、週末に奥さんと話しをしてから、月曜日に最終的な返事をすると約束してくれました。

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クライアントの人事部長に早速朗報を伝えると、即決できない候補者の判断力に一抹の不安を覚えたようでした。当時はマネージャー職だった候補者ですが、人事部長曰く、ディレクターともなれば、限られた情報で即決する能力が求められるというのです。

マルコム・グラッドウェルの著書『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』には、正しい決断の多くは瞬時に下されると書かれています。グラッドウェルによると、私達の直感や直感的反応は案外正しいというのです。

月曜日になり、候補者からメールが届きました。それまでのサポートへの感謝に続き、残念ながら今回は内定を辞退するという決断が書かれていました。

20% の昇給という寛大なオファー、その会社のシニアディレクター職に就けるという魅力、そして、新薬発売に関わって日本中の患者に予防薬の選択肢を広げる仕事のやりがいを認めつつも、特に具体的な理由はなく、日用消費財 (FMCG) 業界に残りたいという意志が書かれていました。金曜日のやる気に満ちた彼はどこへ行ってしまったのでしょう。何があったのでしょうか。

明らかに彼の頭は不安でいっぱいになっていたのです。メールを読み終えた私はすぐに彼に電話をし、彼の職場近くのスターバックスで会う約束をしました。

落ち着いて新しい仕事の長所と短所について話し合ったら、転職をするメリットの方が断然デメリットを上回っていたのです。それなのに、どうして彼は明らかに良い条件の内定を拒んだのでしょうか。

やさしく説得を続けていると、彼は本当の理由を打ち明けてくれました。前の上司とのトラウマが原因でした。支配欲が強く、彼の決定一つ一つに口出しをする上司との記憶にとりつかれ、彼はすっかり自信を失ってしまったのです。

取締役をうならせ、他の優秀な候補者との選考を勝ち抜いた彼とは別人のようでした。人事部長の直感は正しかったのでしょうか。その候補者に欠点があったということでしょうか。

40分に及ぶ論理的な話し合いの中で、転職することのメリットとデメリットを照らし合わせ、MBAを取得する時に描いたキャリアゴールを再確認し、私は最後に尋ねました。「あなたの心は何と言っているのですか」と。

彼はたじろぎ、本心では転職したいと思っている、と言いました。そして、奥さんに電話をかけに行き、戻って来た時には、金曜日に会った時のあの候補者に戻っていました。内定を受ける決意をしたと宣言し、退職の意を伝えるために勤務先へ戻って行きました。

恐怖 (FEAR)は、本物のように見えている偽りの根拠 (False Evidence Appearing Real)と言い換えられます。人間ならそう勘違いするのも自然です。不安に思うあまり状況を分析しすぎて、心の奥底では正しいと分かっている決断の邪魔をすることがあるのです。

過去のネガティブな経験と将来の不確実さが一体となり、否定的な思考を作り上げ、私達の自信を傷つけ、一歩前へ進むのを躊躇させるのです。

この理不尽な恐怖心から、私達は目がくらみ、直感を無視してしまいます。でも人間の直感は案外正しく、正しい決断はたいてい瞬時に下されるものなのです。



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